理系ゴコロ探検隊 その1 〜女性が理系を選ぶとき〜

8月4日,奈良高専のスタッフがSHARP天理工場を訪問し,研究開発本部の吉田明子さんを取材しました.
総務部長の福島隆史さんにも貴重なお話を伺いました.ありがとうございました,

スタッフ「まず,どんな仕事をされているのですか?」

吉田さん「私は研究開発本部のディスプレイシステム研究所というところに所属しています.そこでの仕事の一番の目的は『今,ないものを作る』ということです.今日,明日商品になるものではなく,将来商品になるもののベースの研究をしています.」

スタッフ「今現在,ここには女性はどのくらいいるのでしょうか?」

吉田さん「ディスプレイシステム研究所では,管理職を合わせて研究所全体で70人弱いて,そのうち女性研究者は2人ですね.」

スタッフ「理系に進もうと思ったきっかけは何ですか?また理系の勉強を始めたのはいつごろからですか?」

吉田さん「きっかけは特にはないですね.いつのまにか……という感じです.父がエンジニアだったせいか,理系の環境で育ち,高校での選択も理系のコースでした.実は小学生の頃は新聞記者になりたかったんですよ.何となくカッコ良さそうだったので.新聞記者といっても,仕事は幅広く,科学や技術関係の記事を書く際には理系の知識が役立つでしょうしね.ただし成績は,数学や物理は普通で,化学は赤点でしたが.」

スタッフ「理系でよかったと思うことは何ですか?」

吉田さん「文系に行ったことがないのでわからないのですが,理系の方が文系よりも職業や仕事を選ぶ上で選択肢が多く,比較的転職もしやすいと思います.文系よりも圧倒的にポジションを探しやすいので,大学に残ったり企業に勤めたり選択の幅が広がります.それに,文系から理系にかわるのはかなり大変ですね.」

スタッフ「理系の仕事において,英語などの語学力は重要ですか?」

吉田さん「出来ないよりは出来た方がいいですね.英語ができた方が仕事の幅が広がりますしね.SHARPでも社員を集めて半年ごとにTOEICの試験を行なっています.」

スタッフ「入社して何年目ですか?」

吉田さん「約一年半です.この会社で働く前は国の研究所で働いていました.ですから,民間企業に勤めるのは初めてです.以前はドイツの研究所にいて,研究ばかりしていました.」

スタッフ「大学では何を研究されていましたか? また今のお仕事としての研究内容を,差し支えのない範囲で教えていただきたいのですが.」

吉田さん「大学では,コンピュータサイエンスという情報系の研究をしていました.専門はコンピュータグラフィックスの中の画像処理とヒューマンパーセプションという分野で,人がどう見えているのかを数学的にモデル化し,それをベースに画像処理をするというような研究を現在もやっています.」

スタッフ「外国に長い間おられたということですが,外国での女性技術者や大学の先生の状況と日本を比べると,違いはありますか?」

吉田さん「ドイツは日本とあまり変わりませんね.大学でも,工学部だと,女性が2割いたら多い方だと思います.エンジニアの数もそのくらいで,女性の大学の先生の数はもっと少ないと思います.」

スタッフ「女性の会社での立場は?女性はまだ少数だと思うのですが.」

吉田さん「特に女性だから何かがあるわけではありません.育児休暇にしても,性別は関係ありませんし,女性だけがとれるのは出産休暇と生理休暇だけですしね.実際,仕事の面でも女性だからどうということはないですし,逆にいうとそれで甘えてもらっては困るといった感じです.」

スタッフ「学生時代にこういうのを勉強しておけばよかったな,ということはありますか?」

吉田さん「国語は勉強しておいたほうがいいですね.何をやるにも国語が基礎になります.書いたり話したりすることはもちろん,ある程度大人になってから外国語を勉強する場合,母国語よりも外国語の方が上手くなるということは無いと思います.だから,天井が低いとそれより低くなってしまうので.高校が家から遠かったので,特に部活動とかは何もせずに通学で終わってしまう生活でした.高校時代にこれをした,というのが私はなかったので,部活とか,勉強以外の今しかできないことをぜひやっておいてください.」

スタッフ「仕事をしていて女性ならではの強みを感じることはありますか?また逆に家事と仕事の両立など大変なことはありませんか?」

吉田さん「私は子どもがいませんし,家事についても便利なものはどんどん使ってしまえばいいと思っているので,意外と何とかなりますよ.女性の強みとして,最後の最後に追い込まれたときの胆力が違うって(笑).そういうのはよく同僚の男性に言われますね.」

スタッフ「英語の勉強は日本でしていましたか? また,ご自分で頑張って自主的に勉強されたのですか?」

吉田さん「日本でしました.日本にいたときの大学(会津大学)が2年の後期から全部授業が英語に切り替わるような大学だったので.そういう影響も少しはありましたね.」

スタッフ「頑張ってもどうにもならないと思ったようなことは何かありますか?」

吉田さん「私などは工学部で機械が相手の仕事ですが,生物が相手だと少し変わります.大型の生物だけでなく微生物まで含めて,生き物の都合で回っていくので,大学や研究所に泊まり込むといったことは当たり前ですし,生き物の面倒を見ないといけないので,家庭の事情などがある人にはそのあたりで多少制限はかかります.あと,薬学系などでは出産を希望する女性は触れない方が良い薬品もあります.そういった,頑張りようの難しい域というものはやはりあると思いますね.」

(一緒に見学した中学生・高校生にも感想を聞いてみました)

Q:「今日見学していちばんおもしろかったことは?またお話を聞いた感想は?」

A:「水の分解(廃液の浄化)です.きれいな水っていうのが1番大切なんだなぁって思いました.」
「最初は生物のほうにいこうかなぁと思っていましたが,この頃は興味がパソコンのほうに変わってきて,なんかいいなぁと思いました.」
「テレビの液晶の出来方が面白いなと思いました.」

(女性技術者の方から逆に質問)

Q:「ここに来る前は,女性技術者や研究者にどういうイメージを持っていましたか?」

A:「去年から現場でインタビューをさせていただいて,最近では社会で頑張っているっていうイメージが強くなってきました.今までは大変そうだなぁというイメージが強かったです.意地張って,頑張っていかないといけないかなぁと思っていましたが,意外とそんなこともないのかな?と思ったりしました.」
「私もこのプロジェクト2年目ですが,同じような印象を受けました.印象は変わったんですけど,どう変わったかというのが難しいですね.」
「育児などの後に仕事復帰は難しいのかなぁと思っていましたが,話を聞いて,そこまで育児とか,家事とかは大変じゃないと…….」
「初めはガリ勉じゃないとダメかと思っていたけど,さきほどの話で別のこともやったほうがいいと…….」
「何だか大変そうだなぁと思っていましたが,意外となんとかなるのかなぁと思いました.」

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