理系ゴコロ探検隊 その6 〜河川を守る現場で働く女性たち〜

8月25日,今回は,中国地方整備局太田川河川事務所の調査設計第一課で専門員として働いておられる富田紀子さんと同課の課長さんの田中里佳さんにお話を伺ってきました!呉工業高等専門学校5年の寺本絵美が報告します.

富田さん(写真左)と田中さん(写真右)の紹介
富田さんは呉高専土木工学科(現・環境都市工学科)を卒業後,斐伊川・神戸川総合開発工事事務所に配属されました.田中さんは,大学在学中に国家公務員の試験を受け,現在は太田川河川事務所の課長を務めています.

2人のお仕事は・・・
お二方が所属されている河川事務所とは何をやっているのでしょう?
川を管理しているのは,国交省や都道府県,市町村など,いろいろな機関が管理しています.そのうち,国交省では,たとえば,2つの県にまたがる川や川の側に大きな都市が発展しているところを管理します.ここ太田川河川事務所は,太田川(広島県内の川で,河口部に非常に大きな人口を抱えている一級河川)と小瀬川(広島県と山口県の県境を流れる一級河川)の管理を「河川法」に基づいて行っています.その目的は,3つあります.
「治水」:災害発生の防止または軽減(洪水対策)
「利水」:河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持(水の利用)
「環境」:河川環境の整備と保全(環境への配慮)

実は,富田さん自身も国交省に入るまで川に興味を持っていなかったし,どんな仕事内容なのかも分からなかったそうです.

スタッフ「どうしてこの仕事に就かれたのですか?」

富田さん「高専では,土木学科(現・環境都市工学科)に所属していて,軽い気持ちで技術職に就こうと考えていました.結婚しても働きたいという思いがあったので,民間企業よりも公務員として働く方が都合がよいのでは?と思い,公務員になろうと思いました.規模の大きいものに興味があったので,地方公務員として勤めるより,国交省で国家公務員として働くことを選びました.」

田中さん「私の出身地では,下水道の整備率が低くて多くの家庭が単独浄化槽で汚水を処理していました.生活排水はほとんど垂れ流しの状態で,どぶ川の行きつく先には海水浴場があるんですよね.この経験から,もっと水のことを考えたい,地域の現状をなんとかしたいと強く思うようになり,大学は環境系の学部を選びました.」

スタッフ「どのような経緯でこの「太田川河川事務所」で働くことになったのですか?」

富田さん「入省時は島根県の出雲で3年間寮暮らしをしていました.その後,広島で6年間,鳥取で3年間勤務しました.その時には家族がいたので,家族全員で鳥取に引っ越しました.そして,再び広島勤務になり,現在に至ります.」

田中さん「最初は北上川の河川事務所に勤務していました.そこで河川の面白さを知り,それ以降は河川の業務を希望しています.北上川河川事務所の後は東京の環境省に,その後,国土交通省河川局に,そして太田川河川事務所に勤務することになり,今に至ります.」

スタッフ「女性だから辛いことはありますか?」

富田さん「職場で初の女性技術者だったので,業者や地元の方に相手にされないことが多かったです.そのせいか,女性だから,と思われたくないという思いが強くなり,少々頑張りすぎたこともありました.残業や現場監督など,男性と同様に仕事をこなさなければならないので,体力的に辛い部分があります.子育てと兼ねるのはなかなか大変で,家族の協力が無いと両立は難しいと思いますね. では逆に,女性だからよかったことはありますか? 」

田中さん「女性は相手方に覚えてもらいやすいんです.良い面とやりにくい面と両方ありますが,私にとってはものすごくありがたいことだと思っています.覚えられやすいということは,目立ってしまうということなので,常日頃からきちんとしなきゃという意識が自然に芽生えます.」

スタッフ「育児で困ったことはありますか?」

富田さん「鳥取に勤務していた時です.当時,下の子がまだ1歳くらいだったんですけど,育児の最中にどうしても現場に行かなければならない時があって…鳥取だから,母も近くにいないし,主人は仕事に行っていたし,悩んだ挙句,私はベビーカーを押して現場に向かったんです.現場に着いて,川をしばらく見ていると,通りすがりの地元の方が「こんなところで何しているんですか!?」と,ものすごい勢いで尋ねてこられたんです.事情を説明すると安心したように「ベビーカー押して川を覗きこんでいるものだから,自殺でもするのかと思った!」と言われて(笑)その方が「私がベビーカーを見ていてあげるから,現場に行ってきたら?」とおっしゃってくれて,私は現場を見ることができました.あぁ,私は色んな人に支えられているんだなぁと,ここでも人間の温かみを知ることができましたね.」

スタッフ「今大切にしていることは何ですか?」

富田さん「人間関係です.育児を通じて,家族をはじめとするたくさんの方々にお世話になり,自分一人の力ではどうにもならないことが多々あることを実感しました.今育児と仕事を両立できているのはその方たちのおかげです. あと,私は欲張りなので,育児も仕事も続けられる公務員を選びました.なので,その2つも大切にしていきたいですね. 」

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